ある在中国日本語教師の日記

日本に居場所があんまりない在中国日本語教師日記です。

中国人女子は「嵐」に夢中

先日、家でカレーライスを作って学生4人に食べさせました。

時々学生と外食したり、家で一緒に料理を作って食べたりします。中国の大学では、授業以外でも学生と交流することが外国人教師にわりと求められている気がします。

こちらも異国での一人暮らしの侘しさも紛れるので、学生から誘われればなるべく断らないようにしています。

勉強漬けの毎日を過ごす学生たちも、時々は息抜きを求めているでしょうから。

 

学生たちと色々なことを話しました。

みんな女子ですが(日本語専攻学生は中国人女子が多い)、とにかく中国で「嵐」の人気がすごいことに驚きます。

「おおのく~ん」(大野)「ニノ~」(二宮)なんて言って喜んでいます。

実は、アイドルに夢中になる男女に対して昔から「ちょっとバカっぽいなあ」みたいな偏見があったんですが、私の友人の中年男も「ベビーメタル」という十代の女性アイドルにハマり、「見てるだけで元気になってくる」などと言っています。

私にはあまりないのですが、「飛んだり跳ねたりする若い異性を見るだけで元気になる」という感覚は老若男女を問わず(もちろん民族も問わず)、多くの人にあるのだと思います。

 

私の周りにすらこれだけ「嵐ファン」がいるのだから、中国全土だと一体どれだけのファンがいるのだろう。

もし嵐が中国でコンサートでもやれば、途方もない数のファンが殺到して収拾がつかなくなるかもしれない、と思いました。

「先生、なぜ嵐は中国でコンサートをしないんですか?」

ファンの女子学生にも聞かれましたが、なんと答えればいいのか。

 

中国には、日本の歌手やアイドル、俳優のファンが、日本人の想像よりはるかに膨大な数で存在します。

今の中国人は、日本の最新の文化を見逃すまいとじっと凝視しています。

日本人がコンテンツを売り込むのに絶好の、広大なブルーオーシャンが中国には拡がっています。

 

しかし、もし日本で「嵐、中国でコンサート」というニュースが流れたら、日本人の間に結構微妙な空気が流れると思います。

「なんでわざわざあんな国に行くんだ」

「そこまでして金儲けしたいのかよ」

こういう空気が流れるのは想像に難くありません。「中国に親近感を感じない日本人が8割」というデータがあります。

日本人にとって中国という国は、学ぶところが何もないただの成金国家みたいなイメージだと思います。

 

日本の「今」に注目し、貪欲に吸収しようとする中国人。

中国の「今」に全く興味がなく、無視し続ける日本人。

その結果、中国人は日本のことに隅々まで詳しくなり、日本人は相変わらず古臭い中国イメージの偏見を持ったまま情報がアップデートできない。

いづれ、立場が逆転するかもしれないのに呑気だなと思います。

中国人も、いつまでもお客さんでいてくれる保証はありません。

 

息の詰まるような勉強の合間に、ひと時の安らぎを求めて「嵐」に目をキラキラさせている女子学生たちを見ると、微笑ましくなります。

ああ、この子達にとってはこれが青春なんだな、と。

数十年後、「そういえば大学時代は日本語専攻だったな。今は全然喋れないけど。日本のアイドルにもハマったなあ」

なんて、つかのま思い出しながら、日本語と全然関係のない仕事をしている彼女たちかもしれません。

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