作文添削を楽にするために
中国の大学で日本人教師に求められていること
当然ネイティブチェックです。
いちいちやってくださいと言われるわけではありませんが、中国人教師ではなかなか難しい、日本語発音矯正や日本語作文の添削が当然求められているはずです。
発音矯正はその場でできますが、作文添削は毎回何十枚もあり、結構大変です。
私は元々出版社で編集の仕事に関わったり、予備校の現代文模試の採点もやっており、校正や添削は好きな方なので、その点でもこの仕事は向いていると思っています。
ですが、中国人の日本語を添削するとなるとやはり勝手が違ってきます。
作文の授業をやりたがらない日本人教師もいるようです。
学生の作文を添削しない先生もいるようですが、それじゃ何のために日本人が中国で雇われているのかわかりませんね。
手を抜こうと思えばいくらでも手抜きできる仕事ですが、当然学生にも見透かされます。
手抜きしてる先生をリスペクトできる学生も少ないでしょう。
そこで、大変な作業である「作文添削」を如何に楽にやるか、少し考えてみました。
興味深い作文を書いてもらうこと
内容がどれも似たり寄ったりな作文を何十枚も読むのは苦行です。
以前は、「序論」「本論」「結論」を意識した、まとまりのある作文が書けるように指導をしていました。
例えば、「インターネットと私」などというテーマを与え、
第一段落 インターネットの長所を述べる
第二段落 「しかし一方で・・・」インターネットの短所を述べる
第三段落 「これからは・・・。そうすれば・・・。」と結論をまとめる
というように指導するわけです。
当然、誰も彼も同じような作文を書いてきます。
作文としては一応まとまっていますが、無味乾燥で何十枚も読むのが苦痛なんですよね。
何より、学生が書いてて楽しいのだろうか。
学生には、できるだけ作文授業を嫌いになってほしくない、書くことは楽しいと思ってほしいと考えています。
というわけで、今学期の2年の作文はできるだけ「学生個人」にスポットを当てたテーマで書いてもらっています。
今までのテーマは「私の故郷」「私の悩み」「私が知っている○○さんの面白い話」など。
個人の話なら学生たちも書きやすいだろうし、一人一人必ず違う内容なので私も興味深く読めます。
学生一人一人のことをより深く理解できるというメリットもあります。
また、書いたら必ず他の学生と作文を交換し、お互いに感想を書いてもらうようにしました。
学生達はお喋りは好きだけど、作文は一般的に(中国語日本語問わず)苦手です。
なぜか。
お喋りはその場で相手のリアクションが帰ってくる双方向性があるのに対し、作文の読者は通常教師一人です。
その教師も、作文をしっかりと読み込んで適切なリアクションを返せるとは限らない。
学生にとって作文がつまらない理由の一つは、壁打ちテニスをやり続けているようなものだからかもしれません。
作文も、教師だけでなく多くの人のフィードバックが必要だと思います。
多くの「他人の目」を意識するようになれば、作文のモチベーションも変わってくるのではないでしょうか。
まだ今の段階では、段落や中心文を意識した指導はしていません。
学生たちは4年生になったら論文を書かなければならないし、順序だてて文章を書く練習も必要なので、いづれするつもりではいます。
ただ今は、型にはまった書き方を教えて無味乾燥な作文が増えたら嫌だなと思っています。
書くことに抵抗をなくし、型にこだわらずに自由に書いてほしいと思います。