ある在中国日本語教師の日記

日本に居場所があんまりない在中国日本語教師日記です。

日本国内の日本語学校って本当に必要か?

 

中国での日本語教師歴3年ちょっと、国内の(普通の)日本語学校で働いたことがないので、的外れなことを書くかもしれないことを最初に断っておきます。

 

最近、国内の日本語学校に勤めていた知人に何気なく「そちらの学校ではN1(日本語能力試験一級)に何人くらい合格するの?」と聞いてみたところ、「毎年1人か2人」とのこと。
全体で数百人規模の学校だったと思います。
色々な日本語学校のデータを調べてみても、N1N2合格者が数えるほどしかいない学校がたくさんあります。
最近は非漢字圏の学生が急増していることを考慮しても、2年間の日本語教育の成果としてはどうなんだろう。
日本語学校の中で、N1合格者というのは毎年僅かにいる特別優秀な学生というイメージなのでしょうか。

 

もうすぐ7月に日本語能力試験がありますが、私が働いている中国の大学でも今2年生たちが必死に準備しています。
日本国内の日本語学校と同様、2年間の勉強後にN1N2を受験することになります。
昨年の日本語能力試験では、私の大学の日本語科学生60人のうち20人近くがN1に合格しました。
不合格の学生はまた受験するので、卒業までに半数前後の学生がN1に合格すると思われます。
今の4年生の代は3分の2以上が合格したので、去年は前代未聞の合格率の低さだと中国人の先生が嘆いていました。

 

私の大学は、中国の大学では中の中か、中の下クラスのランクだと思います。
以前働いていた別の大学も同程度のランクでしたが、やはりN1合格者は同じくらいの割合でした。
学生たちはずっとN1N2対策勉強をしているわけではありません。
日本語と関係ない授業、日本語関係であっても試験対策にほとんどならない授業もたくさんあります。

 

周りにN1合格者が沢山いれば、合格するのが当然の試験ということになり、学習のモチベーションも変わってきます。
N1合格者がわずかしかいない環境だと、N1なんて超難関で自分には関係ない試験だと学生が思いかねません。
日本国内の日本語学校で勉強するのは、進学目的で考えた場合、あまり効率が良くないと思うのですがどうでしょうか。

 

国内の日本語学校は、クラスが多国籍で日本人が文法も教えなければならないという特徴があります。
多国籍だからやむをえないのですが、日本人が日本語で外国人に日本語文法をわからせるというのはやはり非効率なやり方ではないでしょうか。
クラス全員が同国人で固まっているのなら、文法はその国の人が教えた方が絶対効率的だと思うんですよ。

 

あと養成講座に通っているときに感じたことですが、ピクチャーカードやレアリアなどを準備してすごく丁寧なやり方で導入をするのは、ちょっと過保護な気がします。
(子ども相手だったらいいと思うのですが)
学生が全く予習も復習もしない前提で授業を組み立てているというか。
しかも、その丁寧さに見合った効果がそこまであるのかという。
何の予習もせず白紙の状態で授業に参加してもいいんだ、教師が一から手取り足取り教えてくれるもんだという雰囲気になったら、語学学習の効率は落ちると思います。
語学は自分で勉強するのがメインであって、授業はその確認の場であるべきだと思います。

 

とはいえ、いくら丁寧な授業をやっても、学習意欲が低くて付いていけない学生が多いのかもしれません。
本当は日本語学習がメインではなく、アルバイトが目的の生活になっている学生もたくさんいるのが現実かもしれません。

 

それならば、なぜそのような学生を大量に受け入れるのか、という問題になります。
年間100万以上はかかる学費や生活費を、まだまだ貧しいベトナムやネパールの学生に借金を背負わせてまで支払わせ、N2に合格できない程度の日本語を教える意味というのも、うーん。
進学目的ではなく、「日本語学校に入学すること」「日本生活を体験すること」自体が一つのアクティビティとして目的になっているのなら、いいのかもしれませんが。


日本語学校に通う学生の目的の多くが「日本で進学したい」「将来、日本で就職したい」であれば、彼らの目的に合致しない商品を、それと知りながら売っていることになる。

ちょっときつい言い方をすれば、日本語学校やブローカーが、貧しい国の若い人から搾取しているということになりかねないのでは。

 

本当は、彼らのことを考えれば、現地の日本語学校や大学で効率よく学んでせめてN3程度までの力をつけ、日本では進学に特化した学校やクラスで学ぶのが一番いいと思うのですがね。


国内日本語学校関係者に読まれたら怒られそうなこと書いたけど、まだほとんど注目されてないブログだからこれでいいのだ(笑)

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