ある在中国日本語教師の日記

日本に居場所があんまりない在中国日本語教師日記です。

授業は「ライブ」だ

教育方針というほど大げさなものではありませんが。

教師が百人いたら百通りの教師像(教育方針)があって、どれが正解ということもないと思うのですが、一応私にも自分なりの教師像があります。

 

私は普段、教室で怒ることはほぼありません。

うるさい時は「しっ」と指を口に当てるなど他の学生に迷惑がかかる時は注意しますが、他の学生に迷惑がかからないなら内職したりスマホ弄っててもほっておきます。
勉強したくない学生に無理強いしても意味がないと思うので。

 

怒った方が教育効果が高いのならそうするべきなのでしょうが、怒り方にあまり自信がありません。
私自身が子供時代は本当に勉強しない(できない)生徒だったので、そんな私が「お前ら勉強しろ」と怒っても説得力がないしウソ臭くなってしまう。
大学生ともなれば、自分の進路について真剣にならざるを得ないはずなので、本人が「自分は日本語の勉強に興味がない。勉強しても意味がない」と判断しているようであれば、ほっとけばいいんじゃないでしょうか。

 

大学時代の専門と全く関係ない仕事に就いている人もたくさんいます。
私自身、自分に向いている仕事を求めて右往左往した挙句、40代になってからようやく在中国日本語教師という仕事を今後続けていこうと決心したほどなので。
(私の経験はあまり参考にしてはいけない例かもしれませんが)

 

教室では「怒らないこと」と、なるべく「笑顔を作ること」を心がけています。
十数年前、ワーキングホリデーでニュージーランドに住んでいたことがあるのですが、その時に通った英語学校の先生が私の一つのモデルになっています。
その先生はとてもフレンドリーで楽しく、生徒もリラックスした状態で遊びながら勉強できて、授業がこんなに楽しくていいのかと思うほど、日本人が「学校」に抱いているイメージとは違いました。
オセアニアの語学教育は、そのようなやり方が多いのだと後で知りました。

 

学校の授業というと、教師が学生より一段高い位置にいて、クスリとも笑わず一方的にお経のような講義をし、学生はただ聞いているだけ、というイメージが日本を含む東アジアに共通してあるかもしれません。
教師によっては、質問するのも憚られるような緊張した空気が漂っていたりします。
しかし、ニュージーランドの英語学校の経験から、教師と学生の垣根を取っ払い、学生をリラックスした状態にして気軽に喋れる空気を作った方が、語学学習のパフォーマンスはあがるのではと思うようになりました。

 

私が勤めているのは大学なので、語学学校ほど自由にできるわけではありません。
それでも、学生がなるべくリラックスして喋りやすくなるよう、できるだけ笑顔を多くし、冗談を言ったり、歌を歌ったり、芝居やパントマイムなどを取り入れて楽しい授業になるように心がけています。

思い通りに行かないと、つい緊張して笑顔を忘れてしまうことも多いですが。

 

授業は一つの「ライブ」だと思っています。

授業が「ライブ」であることの意味は、教師が投げかけたことに対して学生が反応する「双方向性」にあります。

ただ教師が一方的に喋り、学生が聞いているだけの授業なら、よくできたビデオを教室で流していればいいと思います。

授業ではなるべく学生にたくさんの質問を投げ、学生も気軽に話しやすい空気になっていると思います。

 

私は日本にいる時、たまに落語やお笑いのライブを見に行きます。

日本語教師としての専門知識の勉強をすることも必要だと思いますが、人を引きつけたり教室を盛り上げるヒントを少しでも得られればと思っています。

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